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チェコA to Z ブログチェコの旅本『チェコ AtoZ』(2006/12/15ブルースインターアクションズより発売)の著者による、チェコの話題を集めたブログです。
2007.02.07 Wednesday
フランチシェク・スカーラさんにインタビュー
チェコセンターで開催中のフランチシェク・スカーラさんの写真漫画『ツィーレク君冒険物語』。もう観にいかれた方も多いかと思いますが、先日スカーラさんに伺った制作秘話―写真漫画という世界初の試みは、どんなふうに創られたのか、数回に分けてここにご紹介します。
その前にまずは以下、スカーラさんのプロフィールから。 František Skála (フランチシェク・スカーラ) 1956年 チェコ・プラハ市に生まれる 1982年 美術工芸大学映画・テレビグラフィック学科卒業 1980年初め〜現在 彫刻、オブジェの個展を行う 1987年〜1991年 彼の結成したポストモダン芸術グループTVRDOHLAVÍとしても作品を発表 1990年 ヴァ−ツラフ・ハヴェル元大統領が設立したインドジフ・ハルペツキ−賞を受賞。その副賞として、サンフランシスコ・べドランズ芸術センターにて3ヶ月を過ごす。 1992年 プラハ・パラーツ・アクロポリスの劇場スペースのインテリアを手がける。 1993年 第45回ベネチア・ビエンナーレにチェコ代表として参加。チェコからベネチアまでの850kmを25日間かけて徒歩で制覇。その旅の途中で描いた作品をビエンナーレに出品する。 1995年 フランクフルトで開催されたブックフェア−にチェコ代表として参加する。 2004年 展覧会Skála v Rudolfinuにて4万人を動員し、年間の最も成功した展覧会となる。その後、2006年1月末まで、チェスキー・クルムロフ市のエゴン・シーレ・アートセンター、ブルノのモラビア・ギャラリーにて展覧会が続けられた。この展覧会に合わせて自身の作品集及びビエンナーレ記を出版。 児童書のイラストレーターとして様々な賞を受賞しており、その芸術活動はイラスト、彫刻、オブジェ、建築の分野に留まらず、音楽にも及ぶ。ユニバーサル・プラハ・オーケストラMTO、フィンスキー・バロックにて演奏、歌を披露している他、SKLEP劇場の一員でもあり、ボーカルトリオTROS SKETOSのメンバーでもある。オーストラリア、アメリカの美術大学に客員アーティストとして招聘された経験もあり、国内外で高い評価を得ている。 素材に対する独特の感性、ユーモアセンス、そして作品に対する思弁的でないポジティブな姿勢を持って芸術活動を行っている現代チェコを代表する優れた芸術家の一人である。 フランチシェク・スカーラさん『ツィーレク君冒険物語』を語る。(その1) インタビュー:鈴木海花、中山珊瑚 通訳:ペトル・ホリー なにからなにまで、ひとりで創った 『ツィーレク君冒険物語』 海が見たくて、鎌倉へ きのうどうしても海を見たくて、鎌倉へ行ってきました。とてもいい天気だったので、富士山がくっきり見えて、それに海に沈む太陽の美しさ、日没をみてとても感激しました。初めて日本に来て、こんなに天候に恵まれて美しいシーンを体験できたのは、心の奥に持っていた憧れの気持ちのおかげかもしれません。 日本は素晴らしい文化と伝統をもっていることを、実感できたのもうれしいことです。たとえば、日本の料理。一口目は、味が薄いかな、と思うのですが、二口目を食べるといかに素材の味が奥深いかが感じられるんですね。そういう文化に触れて、いろいろ発見がありました。 まだ誰も試みたことがない写真漫画という手法 写 真漫画を最初に思いついたのは、1989年に、「ブラストブラダの大冒険」という本を出版した時でした。最後の方のページで数枚の写真を使ってみたのですが、その時これを物語にしたら面白いんじゃないかと、浮かんだアイディアです。 調べてみると、まだ世界で誰もやったことがないみたいですし。それでいろいろ案を練って、一昨年2ヶ月ほど集中して時間をとって取り組もうと思ったのです。 ところが、はじめて見ると1年半かかってしまった。この一年半は、毎日制作と戸外での撮影に明け暮れました。 すべて自然の素材を使って、森の中で自然光で ツィーレク君はけっこう長い物語でコマ数も多いのですが、人形やその周りの環境を作るのに使ったのはすべて自然の素材でした。それらを自然の中に持っていって、すべて自然光で撮影しました。サイズが小さいので、実際には大きな家を小さくしたり、人形も車も、実在のもののサイズをちょっといじって、小さくするのですが、いかにも実際に存在しているような感じにしたかったのです。 子供時代の森の遊びを回想して チェコの子供たちがよくするように、森に出かけて、木の根っこを使って小さな家を作ったり、木の皮で舟や小さな家の屋根を作ったり。そういう風にこの写真漫画をつくったので、私にとっては子供のころの遊びの回想でもあったわけです。 プラハから北西に70キロほど行ったところにセカンドハウスを持っているので、そこを制作の拠点にしました。制作の作業をするのにはできるだけ環境を愉快なものにしたいから、自分の好きな場所で作ることにしました。嫌いな場所からは何も生まれませんから。 人形が人形でなくなる時 この写真漫画は、最初に絵コンテなどは作らず、その場の思いつきで全部つくっていく、という方法で制作しました。 まず人形をつくります。頭部をつくり、それを体につける―そうすると「人形が生まれてくる」ような状況になる。まるで赤ちゃんが生まれてくるように。人形に対しての「私の気持ち」が生じるわけです。 そうすると、そこに自然に今度はセリフが出てきます。 ここまできたら次はインテリア、小道具など、どういう環境で暮らしているのか、という環境づくりをしました。これができると私自身もその一部になるわけで、人形が人形でなくなる―まるで命の無いものが命を得る、蘇生する、という風に感じられるようになります。 (つづく) コメント
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